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それは、ある日の夜のことだった。 「おかえりなさ~い」 近くに住んでいるおさななじみの宮辺佐夜(みやべさや)。 母さんが死んじゃってから、父子家庭の我が家。 なぜだか知らないけど、佐夜がうちに来てなにかと手伝ってくれていた。 いやまあ、おさななじみの俺のためなんだろうけど。 今日は自分の家に帰らず、泊まっていくらしい。 家は近所だし今からでも帰れるはずなのだが、よくあることなのでもう何とも思わなくなっていた。 そして、深夜2時過ぎ。 俺は、尿意のせいで目が覚めてしまった。 トイレに行こうと思い、足を忍ばせそっとドアを開ける。 『ぁっ……ぁんっ……んんっ、ひゃっ、ぁんっ』 廊下に出た途端、微かに声が聞こえてきた。 父さんの部屋からか? こんな時間に何をしているんだ? 興味が湧いてさらに足を忍ばせて歩くと、父さんの部屋のドアをちょっとだけ静かに開ける。 「ぁんっ、凄い気持ちいいっ……ダメ……声出ちゃう……っ」 なんだよ、これ!? なんで父さんと佐夜がセックスしてるんだ!? 目の前の光景に頭が狂乱状態になる。 佐夜は俺のことが好きだったはずなのに。 今まで俺に隠れてふたりでイチャイチャしていたのかと思うと、無性に腹が立ってきた。 ちょっと前まで抱いていた佐夜への愛情が、どんどん憎しみに変わっていく。 見てろよ……絶対このままじゃ済ませないから……。
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